こんばんは。
Artigiano-Tokyo Ginza(東京銀座店)です。
今年に入って衣装提供が連続して続きました。
(しれっと音尾琢真さんにも3度目の衣装提供…)
今回は珍しく特番での採用でした。
TBS 1/19放送 『邪道メシコロシアム』
※クリックするとTverの視聴サイトに飛びます。
邪道メシ。なかなかぶっ飛んだタイトルですね。
各分野で本格料理を手掛けるプロの料理人が
一流のワザで超ジャンクな”邪道メシ”を作り
競い合うという思い切ったコンセプトです。
イタリアンでこれ。まさに邪道。 Tverより
今回は番組主宰役の満島真之介さんに
当店のシャマットのタキシードをご着用頂いております。
Tverより。満島さん格好良いわ…
※当店と満島さんは直接の関係は御座いません。
満島さんが番組進行の主宰役ということもあり
シャマットのシルエットを全編堪能いただけます。
実は、番組タイトルはスタイリストさんへの
お貸出しタイミングで初めて知ったんですが、
よくよく考えると
『邪道って…シャマットのことじゃん!!』
と膝を打ちました。
今回お貸出ししたのがたまたま
『Sciamat-シャマット-』のぶっ飛んだ
アイテムだったのです。…偶然の一致。
今回はせっかくのお貸出の機会なので
シャマットについてお話したいと思います。
Sciamat-シャマットは
『モダンサルトリアーレ*の旗手』
と呼ばれる2002年誕生の若いブランドです。
*モダンスタイルを提唱する仕立て屋
元弁護士という異色すぎるテーラー:
ヴァレンティノ・リッチ氏がデザインを、
ウェルドレッサーとしてファッション雑誌
でも有名な二コラ・リッチ氏がセールスを
手掛ける、新時代の気鋭ブランドです。
新たな形のサルトリア、と言えるでしょう。
そしてそのスタイルは…モダンで大胆そのもの!
とにかく一度見たら忘れられない強烈さです。
当時20代だったスタッフはシャマットを見て
『…とんでもなくカッコええ服や!!』
と感動したものです。
しかし、これ見よがしなお洒落を否定し
『細かな技法やディティールはあくまで
仕立てを構成する要素に過ぎない』と
位置付けてきたのが本来のクラシコイタリア。
このシャマットは、全く正反対の立ち位置です。
主役が『人』であるクラシコイタリアに対し、
主役を食ってしまいそうなほどの攻め具合…
本格クラシコでは否定される『禁じ手』
を次から次へとやりたい放題打つシャマットは
裏を返せばとんでもなく邪道!
※Tverより。ちなみに東京店スタッフが
『クラシコイタリアを初めて知ったのがシャマットです』と
オーナーに話したところ『入り口が邪道やな!』と言われたとか。
クラシックの王道派からはときに
『やりすぎ』『くどい』
『もやはクラシコではない』
『クラシコ界のゴールデンボンバー』
とさえ言われます。笑
しかし初めて目にしたスタッフが感じた通り、
シャマットの服には論理や既成概念を超越した
強烈な魅力があります。
シャマットは、理屈抜きに超格好良いんです。
番組での着こなしを見れば言わずもがな。
満島さんが格好良いのは置いといて。
シャマットの特徴(ハウススタイル)は
・徹底的に芯材を省いたアンコン仕立て
・とんでもなく高い位置から始まる肩線
・とんでもなく広いハイゴージラペル
・とんでもないパフドショルダー
・とんでもなく強調された手縫い
・とんでもなく上質な生地づかい
といったところでしょうか。
兎に角『クラシコイタリア』というジャンルで
長年受け継がれてきた技術や仕立てを極限まで
拡大解釈した世界観が特徴です。
※番組で採用されているのは『ヴァレンティノ・リッチ』
創業者の名を冠した最上位ラインのタキシードです。
非常にメリハリが利いているので、
満島さんのような鍛え抜かれた体型で
着こなすのがある程度マストになってきます。
スタッフは太ったのでサイズアウトし
クローゼットでしばらく寝かせています。
シャマットは基本的に肩回りにパットなどの
芯材は一切使いません。
にも拘らずとにかく異様なまでに高い
肩線を形成しています。
急勾配を滑り落ちるように高低差を描く
コンケープドショルダーをみれば
『なんじゃこりゃ!!』と衝撃を受けます。
大きく動いても鍛えられた体にビタっと
張り付くシルエットはかなり強烈。
Tverより。シルエットに食い入りすぎて途中内容が入ってこず。
肩先はマリオネットのように張り出した
独特のライン。
これは英国式スーツで採用される
『ビルドアップショルダー』とは
全く異なる仕立てで構成されています。
英国式の場合、この部分は綿を入れて立体的に
見せますが、シャマットは肩先に綿を入れません。
なんと”縫い”だけでこのラインを表現しています。
この優美で柔らかい袖付けはレディースウェアの
パフドショルダーを彷彿とさせます。
スタッフ私物。極上と呼ぶに相応しい繊細で柔らかな生地と
手仕事の組み合わせでのみ再現できる。まさに貴族の遊び。
ラペル幅は超ワイド。
ワイドラペルが流行する前から
とにかく超ワイドです。
お貸出したタキシードのラペル幅はピーク先端から15㎝!! 笑
そしてどこまでも続くラペルの返りは、
ボタンを留めるとツイストするほど。
スタッフ私物。
華やかに広がるフロントラインや
南イタリアの象徴であるパッチポケットさえ
更に着崩したシルエットで仕立てるなど
恐ろしく手の込んだ遊び心を、
恐ろしく手の込んだハンドワークで
これでもかと見せつけてきます。
スタッフ私物。
リラックスしているのに
鍛え抜かれたウルトラマンのような
ボディラインは一目ぼれという言葉が
ぴったりの魅力。
クラシコイタリアを知らない層にとっては
まさにブレイクスルーです。
今回の番組の趣旨と同じく、
一流の仕事ができる人が崩しを行うと
物凄く面白いものが生まれるんじゃないか?
その答えの一つがシャマットだと思います。
クラシコイタリアを着倒してきた
リッチ兄弟だからこそ、
クラシコの技術をリスペクトしつつ
新たな挑戦を行ったはずです。
ラグジュアリーで遊び心に富んだ世界観を
最高の手仕事と素材で表現していることからも
『本気(マジ)の邪道』
を目指したんじゃないかなあと思います。
番組内でも、タキシードを色柄を加えた
シャツとチーフで仕上げるなど、
”邪道”に相応しい(!!)変則的な着こなしに
仕上げて頂いています。
番組に沿ったスタイリストさんの”崩し”の
文脈があり、素晴らしいですね…。
結局、理屈抜きでおいしいモノ、
カッコイイモノって、人を惹きつけるんです。
美味いは正義! カッコイイは正義!
そんな当たり前のことを気づかされた番組でした。
こうしてクラシコイタリアという
『最高の手仕事』が、
多くの方の協力のもと世の中に認知されて
いくことを本当にうれしく思っております。
スタッフは夜通し仕事で生では観れませんでしたが、
見逃し配信でしっかり観賞しました。
当日ご覧になれなかった方は是非Tverでご覧ください。
衣装提供に関しご協力いただいた全ての皆様に
感謝申し上げます。
それでは。Ciao!
Artigiano-Tokyo Ginza