【Monthly collection テーマ11】-生ける伝説- Panico パニコ

こんばんは。
東京銀座店です。

10月初旬までの暑さが嘘のように寒くなりました。
この時期は非常に洋服の購買意欲がそそられます。

銀座店スタッフも在庫を眺めながら
あれがいいな、これがいいなと
毎日物欲と戦いながら商品整理をしています。

11月のマンスリーテーマですが、そろそろ再び
大物サルトリアを特集したいと考えています。
それも超ビッグな存在を。

満を持して感がありますが、
当店が最も敬愛する存在である生きる伝説、
そして最後のマエストロと呼ばれるあの御方。

アントニオ・パニコ氏が率いるブランド
『PANICO』がテーマです。

パニコは後継の教育にも熱心なサルトリアではありますが、
本人のあまりにも傑出した技術とセンスにより
もはや継承不能とまで言われる
生ける神的な”伝説の仕立て職人”です。


5年前。アトリエ訪問時のパニコ氏。

近年は健康不安などもあり残念ながら現場の活動は
極めて限定的な状況と言われていますが、
彼の残してきた偉業はもはや人智を超えている
と言っても過言ではありません。
逸話が多すぎてこのコラムではとても語り切れない
孤高の存在です。

氏のナポリ仕立てのベースは非常に英国的です。
これはロンドンハウス(ナポリの有名老舗テーラー)
在籍時代の影響が非常に大きく、このハウススタイルは
今日まで脈々と受け継がれています。


※参考 こちらは成約品です。

彼の奥義は数えきれないほどありますが、
ほぼ芯地を使わず『そびえ立つ富士山』
『五重塔』とも言われる弓なりの
ショルダーライン(コンケープドショルダー)
を再現してしまう技術は特筆すべき点です。

本来のコンケープドショルダーは
服を立体的に構成する芯材を要所で使用し
成立するシルエットです。

これをカッティングとアイロンワークで
見事に再現してしまう技術には
誰もが度肝を抜かれます。
※勿論、顧客の要望や体型に合わせて
芯材も使用することも多々あります。

ジャケットのシルエットは
力強い男性の体を描くグラマラスな佇まい、
やや広めに取られた肩、
丸みを帯びたボリュームのある胸、
それが急激に絞り込まれたウエストへと繋がり、
裾は後方に振られたカッタウェイフロント。

言葉だけ並べるとリベラーノの仕立てと
似た印象を受けますが、全くもって別物です。

”タキシードの様”と形容される
エレガントなドレープラインはパニコ独自の
ものであり、その理想的なシルエットは
あらゆる体型を包み込み、フィットします。

氏が手掛けるプレタポルテ(既成服ライン)も
世界三大既成ブランド(Kiton,Attolini,Brioni)とは
コンセプトが大きく異なります。

ハンドメイド(手縫い)を軸に、
裏地ポケットなど目に触れない部分は
機械縫製を用い安定生産を実現する
キートンやアットリーニらに対し、
パニコらの作るプレタポルテは
彼自身のアトリエ内でス・ミズーラ(注文服)と
ほとんど同じ工程を経たハンドメイドとなっています。

これはあくまで推測ですが、
パニコ特有のダイナミックかつ丸みを帯びた
ドレープラインを形成するには
『手縫いでなければならなかった』
のだと思われます。

何より、本来パニコ氏はス・ミズーラ(ビスポークと同義)
のみを扱ってきた仕立職人です。

全くの畑違いとされているプレタポルテに
おけるモデリスト(型紙を決定する職)としても
非常に高い能力を持ち併せているのです。
このマルチで一切の隙のない才能こそ
パニコ氏が天才と呼ばれる所以でもあります。

ロンドンハウス在籍時代にKiton(キートン)
のために設計したコート等は、
現在も製品としてラインナップされています。

これ程までに才能に恵まれていながら、
彼は自身の仕事へのプライドを貫き、
媚びることがありません。

Kitonのオーナー、チーロ・パオーネ氏は
パニコ氏の能力を高く評価し
自社のモデリストとして破格のオファーを
出し続けていますが、
パニコ氏はこれに一切靡くことなく
自身のプレタポルテ開発に取り組んできた
ことは有名です。

-細部に神は宿る-。

注文服・既製服問わず、
洋服の全ての部位にパニコの技術力の
高さを凄みを感じる事ができます。

このような服作りは世界に数えるほども
存在しない、と言えます。

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パニコの服は、クラシコイタリアの中で
格/質ともにTop of Topに位置付けられます。
オーナーの丹下はコロナ禍前までは
毎年ナポリに出向いた際は必ず表敬訪問
してきたほどパニコ氏の熱烈なファンです。

その希少性によりUSED市場には殆ど出回らない品ですが
私共がどうしてもお客様にご覧頂きたい
と思う『世界最高の工芸服』ゆえ、
当店のプライドとして日本一の在庫数を
死守しています。

そして今月マンスリーコレクションのためにとっておきの在庫を出品します。

そんな当店が惚れ込んだ
『Panico パニコ』
を東京銀座店でご堪能下さい。

※11月のオーナー在店日は現在調整中です。
追ってSNS・当ブログで告知いたします。

11月も皆様のご来店をお待ちしております。


パニコ氏とオーナー

Artino-Tokyo Ginza

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