ナポリ仕立ての直系とも言える伝説的な職人アンジェロ・ブラージのもとで修行をした黎明期の職人である1934年生まれのレナート・チャルディが注文服のアトリエを創業したことに始まります。
レナートチャルディ氏はナポリの仕立て屋の間でも非常に評価の高い職人であり、一目置かれる最高峰サルトリアです。
個別意識の強いナポリでは仕立て職人が他の職人を褒めることは殆どありませんが、レナート・チャルディだけは皆が口を揃えて「彼は特別だ」と言います。
あのアントニオ・パニコやカラチェニ一派でさえだそうです。
それは彼の仕立て技術のみならず人間性によって尊敬を集めた証でしょう。
イタリアの上流階級の洒落者達が挙ってチャルディに注文し続け、チャルディは服を通してナポリ仕立ての歴史を作り続けてきました。
サルトリア・チャルディの仕立てはナポリでも特徴的です。
その少しクラシカルな雰囲気の漂うスクエアなショルダーライン、切れ長の堂々としたラペル、深いVゾーンなど、パッと見ただけでチャルディの仕立てであることがわかります。
残念ながら創業者のレナート氏は2017年にお亡くなりになりましたが、父親の教えでサルト職人となった子息ヴィンツェンツォとロベルト2人に遺志を受け継がれ、変わらぬクオリティの服を作り続けております。