若干23歳でフィレンツェに自らの名を冠したス・ミズーラ専門店を構えて以来、数多くのアート・ピースを生み出しているステファノ・ベーメル。
その類稀なセンスとクリエイティビティ、職人としての見事なまでの技量で仕上げられた靴は瞬く間にイタリアのウルサ型ファッション関係者たちから“天才アルティジャーノ“という賞賛の声を得る。
その声の主の一人があのフィレンツェの名店”タイ・ユア・タイ“のオーナー、フランコ・ミヌッチ氏。
決して時代に流されること無く、普遍的な名品・良品のみを無抜く卓越した審美眼を持つと評判の男=フランコ・ミヌッチに太鼓判を押され、さらに識者が認めた工芸品が並ぶDAギャラリーに永久展示されたという事実を記せば、このステファノ・ベーメル(STEFANO BEMER)がどれほど素晴らしいものであるかを理解できる。
そんなステファノ・ベーメルが、その技術と経験をフルに生かした珠玉のプレタポルテ・コレクションを初めて発表したのは2001年。
機能的な側面としての履きやすさと、美的側面としての高いデザイン性。
生み出されるプレタポルテには、ともすると相反する、そんな二つの要素が見事なバランスで同居している。
そして有力日本人靴職人の師匠としても有名で、日本のビスポーク注文靴に影響を与え続けている。
ステファノ・ベーメル氏は惜しくも2012年7月末、48歳の若さでその生涯を閉じました。