【マンスリーアーカイブ】7月テーマ ”ハンドワーク” 「2人の天才」後半:ラッタンジ。東京銀座店

こんにちは。
Artigiano-Tokyo Ginza(東京銀座店)です。

前半はステファノ・ベーメルについて取り上げましたが、後半はイタリア靴の王様とも呼ばれる「シルバノ・ラッタンジ」についてご紹介します。

ラッタンジは「ジンターラ」名義の靴がよく知られていますが、最高峰のモノ作りとして当主の名前を冠したトップブランドが「シルバノ・ラッタンジ」です。
※「ジンターラ」は現在セカンドラインとしての立ち位置ですが、元々は彼自身が興した工房を指すものでした。

2000年前後、クラシコイタリアのブームを決定づけたのはこのラッタンジであると言われている。当時ロングノーズでアーティスティックなシルエットは斬新で、瞬く間に人気となった。しかしロングノーズ=イタリアの「伊達男」というイメージが作られ、同時にそのディティールが独り歩きし、模倣による低品質なデザインが出回ることとなる。だが、元を正せばラッタンジがデザインの始祖であるディティールは少なくない。そしてその本物が持つオーラは別格。影響力の大きさも含め、靴界の”フェラーリと呼ばれる所以である。

靴界において天才の名を欲しいままにしているラッタンジの作品は、変幻自在な製法とパターンから生み出される、ある種の工芸的なモノ作りが大きな魅力です。
実際、一つの工房でここまで多彩な仕立て方法を提供するのは、ラッタンジくらいではないでしょうか。

「ジンターラ」で一躍有名となったベンティベーニャ製法のほか、グッドイヤーウェルテッド、ハンドソーンウェルテッド、ノルベジェーゼなど、一見すると製法だけでラッタンジの靴だと判別するのは難しいでしょう。

ZINTALA(ジンターラ)名義の内羽キャップトゥ。店頭にて販売中。ホワイトヌバックによるコンビカラーが目を惹く上質な個体。仕立ては九部仕立てのハンドソーン。先の個体と比較すると随分と普遍的なディティールに感じる。アーティスティックな作品に目が行きがちだが、それも基本が高いレベルで実現できてこそだと気づかされる。パブロ・ピカソが模写を徹底し守破離を成し遂げたのと同じといえる。

ラッタンジの靴は最高峰のパフォーマンスをもって作られており、すべては個々の顧客のために、最高の仕立てを提供するためのビスポークの経験が反映されています。

また、作品に共通するのは「フェラーリ」に喩えらえる、うねるようなシルエットです。

シルバノ・ラッタンジ名義のダブルモンク。サイドシルエットの造形美はミッドシップのスポーツカーのよう。ロングノーズのトゥは反り返ることなく地面と平行。これはハンドソーン製法だからこそできる芸当だ。地を這う先端はボンネットを、大きくせり上がる甲はピラーを彷彿とさせる。そして、細やかな仕事は全体のバランスを完成させるための手段である。ちなみにこちら、なんと未使用品。

ラッタンジは非常に高額なため、フェラーリはその比喩表現と思われがちですが、それだけではありません。
うねるようなシルエット、地を這うように伸びるノーズから、甲にかけて駆け上がる躍動感、ヒールカップ(踵)に向けて収束する流れ。イタリアンスポーツカーを横から眺めているような、あの興奮と官能的な感動がラッタンジの靴には宿っています。

シルバノ・ラッタンジ名義のセミブローグシューズ。クラシックデザインだが、一の甲(指の付け根付近)を低く抑えた独特のシルエットが特徴的。アンティーク仕上げの皮革は情緒的でありながらモダンシルエットと見事に調和している。店頭にて販売中。

今回のイベントではシルバノラッタンジの靴が大量集結。
ステファノベーメルと並び、過去最大規模の在庫数となっております。
是非それぞれを履き比べ、最高の1足をお選び頂けたら幸いです。

Artigiano-Tokyo Ginza

 

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