ボノーラはイタリアのボローニャにて1878年、従兄弟関係にあったオリヴェロ・ボノーラとイルデブランド・ボノーラにより創業し130年の歴史を誇るシューファクトリーです 。
創業当初はビスポーク中心で、以降もハンドメイドシューズのファクトリーとして有名です。
工房にて革の裁断から靴の仕上げのポリッシュまで、実に200近い工程を手間と時間をかけて、一人の職人が手作業で1足の靴を作り上げていくそうです。
そのため、製造される靴は1週間に6足という大変少ない数であり、量より質を求めた靴作りを行っています。
また創業当時はビースポーク中心であったため一般市場に流通することはまれであり「幻の靴」とまでいわれていた時代がありました 。
デザインは英国の佇まいを持ったクラシックさの中にイタリアのエレガントさを兼ね備えたクオリティの高い靴として人気があります。
また、ボノーラの技術の高さを語る上で欠かせないシームレスヒールの仕上がりは、過去にジョンロブのトップレンジの靴の製作を請け負っていた事を物語る美しさであり、どのブランドも真似のできない境地にあると言えます。
ボノーラは2003年頃、親会社C,P,F,カンパニーが倒産し、営業停止。その後、イタリアの富豪、モレッティ家の資本により復活。
しかし残念ながら、これまでのように靴マニアを熱狂させたクラシックな靴とは大きく方個性を変えてしまい、 倒産以前のボノーラを旧ボノーラとして靴マニアが血眼になって探す大変貴重な靴となってしまいました。
ご存じの通りボノーラは倒産してしまったので、今後入手はますます難しくなってくると思われます。ハンドソーンウェルテッド製法。この製法の既製靴は、ラッタンジ、ボナフェそしてこのボノーラぐらいです。グリーンもロブもマシンを使ったグッドイヤーです。ラッタンジやボナフェはイタリア的ですが、ボノーラは英国を向いた正統的なデザインです。”英国靴をハンドソーンで作った”という所に、多くのファンを引きつけるものがあったのではないでしょうか。
木型はややロングノーズのオーソドックスなイタリアンスクエアトゥで、決してロングノーズ過ぎずクラシックの域を脱していないところに英国靴のエッセンスを大切にしていた抑制の効いた旧ボノーラを感じる事ができます。しかしながら、羽根部分のV字のカッティングや、ボノーラのお家芸でもあるシームレスヒールなどにはイタリア靴特有の色気ある独特の顔をもっています。
製法はハンドソーンウェルト製法ですが、ウェスト部分はウェルトをも削り取って大きく絞り込まれている為、木釘を用いてソールを接合する古典的な手法で、その歴史は糸を用いるよりも古くから存在したと言われておりますが、現在では東欧の一部のメゾンでのみ細々と受け継がれているにすぎない大変貴重な技術です。
旧ボノーラの技術レベルは、シームレスヒール、九分仕立てや土踏まずのウッドネイル等の凝った作りで高評価を得ていました。
特にシームレスヒールの仕上がりの美しさは、どの製靴ブランドも真似のできない境地にあったと言われます。
これは過去にジョン・ロブのトップレンジ(現在のプレステージライン)靴の製作を請け負っていたという事実からも伺えます。
当時、旧ボノーラが製作していたジョン・ロブのトップレンジモデルはPHILIP、MATTA、EDELINE、DODERO/計4モデルであり、中でもEDELINEはPHILIP、MATTAよりも高いプライスが付けられていました。