北イタリアの国際都市ミラノという立地背景は、スーツ文化にも大きな影響を及ぼしています。
ミラノコレクションに代表されるようにモードファッションの発信地という役目、さらには欧州の主要都市と立地的に近いことから生み出されるインターナショナルで洗練されたファッションは、クラシックスーツという定義までを柔軟に包容しています。
ここで取り上げる「ドメニコ・カラチェニ」は1920年代にローマで活躍した伝説の天才テーラー。
そして1940年代に後継者争いがおこり、現在ではローマに1社、ミラノに3社、カラチェニの名を冠するテーラーが存在します。
なぜカラチェニの弟子たちはローマにとどまらずにミラノへと移動したのか。
その理由は様々ですが、ひとつ言えるのはカラチェニのスタイルが英国に近かったという点でしょう。
もともとサヴィルロウと共通点の多かったミラノに、新天地を求めたのだろうと考えられます。