フィレンツェ仕立ての黄金時代をけん引した最後のサルトであり、伝説的な仕立て職人。
1931年にレオナルドダヴィンチの生家のほど近くで生まれる。
14歳でフィレンツェの伝説のサルト”スペチアーレ”の下で学び始め、17歳でローマに渡り”クッチ”の下で腕に磨きをかけた
当時はシネマ全盛時代で、映画の意匠は皆ローマで仕立てられており、クッチは世界中の銀幕スターの服を仕立てるサルトリアであった。
20歳でフィレンツェへ戻り自身の工房を開く。
様々な土地で色々なサルトの下で修業することで腕もセンスも同時に磨かれ、美しいプロポーションと柔らかい着心地の両立が高次元かつ独創的に表現できるようになる。
その後長きにわたりフィレンツェ仕立ての黄金時代をけん引した後、80歳を超えてサルトとして70年以上のキャリアに終止符を打ち、惜しまれつつ完全引退。
その作品を手にする機会はもう訪れない。