【マンスリーアーカイブ】7月テーマ ”ハンドワーク”。 「2人の天才」イタリア靴が誇る最高の手仕事。東京銀座店

こんにちは。
Artigiano-Tokyo Ginza(東京銀座店)です。

7月初旬は名古屋本店のオーナーがイタリアに買付出張のため営業は東京銀座店のみとなります。
(期間中は名古屋本店休業につき取寄せ対応停止しております。ご不便をお掛けしますが何卒宜しくお願い致します。再開は15日〜)

 

今月の東京銀座店のテーマは久々の「靴」です。
やはり今年も猛暑が予想されます。耐え難い猛暑の中でも、当店スタッフはクラシックスタイルを放棄したくないと考えています。
カジュアル一辺倒になりがちな夏場ですが、足元にクラシックスタイルを据えることで、装いを引き締めバランスを取ることが重要かなと考えています。
独自の買付ルートを持つ当店だからこそ、他にはない、価格だけでは計れない、そんな魅力的な商品をご紹介していきたいと考えています。

ハンドワークに長けたイタリアのモノづくりの真骨頂は「人と装いが一体となる」こと。
人体の立体構造は非常に複雑ですが、立体的な靴づくりは卓越した手仕事でしか再現できない粋です。
これができるのは世界でも一握りの工房です。

今回は、当店が敬愛する2人の「天才」カルツォライオ(calzolaio:靴職人)にフォーカス。
「ステファノ・ベーメル」と、「シルバノ・ラッタンジ」です。
いずれの職人とも買付などを通して交流がある当店が、それぞれの靴が巻き起こしたイノベーションを、アイテムを通してお伝えしていきます。

ベーメルとラッタンジは同じイタリア靴でありながら靴に対するアプローチが異なります。
ベーメルは「機能美」「英国的」。
ラッタンジは「感性」「変化」。
双方で靴に求める世界観が大きく異なるのが特徴です。
まずはベーメルから。

ベーメルの靴づくりは故:ベーメル氏の木型の徹底した研究と、靴に合わせた皮革の選定力の高さ。
その驚きの設計力から「靴は格好良さだけでも、履き心地だけでもダメ」という事実を突きつけてきます。
ベーメルの靴はとにかく徹底した人間工学の上に成り立っており、一見直線的に見えるディティールも、全て曲線の連続で構成されています。
「人が履くこと」「人と一体となること」を大前提にモノ作りがなされ、革靴が格式張って履きずらいものだという先入観は見事に打ち砕かれます。

ベーメルの作品は「ハンドソーン・ウェルテッド 製法」と呼ばれる、縫製のほぼすべてを手縫いで行うことで形作られる。※ベーメルの場合、「出し縫い」と呼ばれる最終工程のみミシンで行う。グッドイヤー・ウェルテッド製法の手縫い版とされることが多いが、実際にはその履き心地はかなり異なる。グッドイヤーは履きこむことで靴の反りかえりとコルクの沈み込みが増していく=履き心地が向上するが、ハンドソーンの場合は履き始めから履き心地が完成されている。靴底を取り付けるために必要な「ウェルト」。これを取り付けるために分厚い中底を手でつまみ、革を起こして縫い代つくる。非常に手間のかかる作業だが履き心地が劇的に変わる。

 

ベーメルのスタイルは非常に特徴的。先端(つま先から足の指の付け根付近)までは非常に低い。そこからうねるようなラインを描き、急激に立ち上がっていく。一見英国的で堅実なモノ作りをする当工房だが、設計力と、その設計を形にするハンドワークは世界の一流ブランドの中でも特に異彩を放つ。

ステファノ・ベーメル「508」。切り返しが特徴的な「サドルシューズ」。日本ではあまり馴染みのないモデルかもしれないが、非常に魅力的な1足。真上から見てもベーメルの靴はやはり特徴的。フロントは大きく横に張り出し、土踏まずから踵にかけ強く絞られていく。これは人の歩行をサポートするための賜物。靴が足と一体となるような錯覚さえ覚える。サイズは39.5(ヌード寸25.0㎝程度向け)。

ステファノ・ベーメル。外羽根キャップトゥの「505」系。ロングノーズとネイビーで一見奇抜に見えるが、履くと色にもデザインにもイヤな派手さが全くないことに気づく。情緒的に配されたパーフォレーション(穴飾り)のリズムもあって、驚くほど落ち着いた一足。この靴のディティールとの一体感はまさに「革の魔術師」の異名そのもの。ベーメルとしては珍しいマッケイ製法は、もちろんハンド(手縫い)によるもの。コバの張り出しがなくなったことで流麗なデザインに。何よりも上質なスニーカーのような履き心地である。サイズは41。

ステファノ・ベーメル フルブローグシューズ。不朽の名作である「601」。ベーメルの魅力はそのパーフォレーション(穴飾り)にもあると言える。靴のマッシブな見た目に対し、繊細で控えめ、かつ情緒的な飾りとの連続性はベーメルでしか味わえない。サイズは39.5(ヌード寸法で25.0cm程度向け)。

若くして亡くなったベーメル氏の死は靴業界において重大な損失と言われるほどでした。
今回は店頭在庫の半数近くがベーメルという驚異のラインナップ。
洋服コーナーも一部シューズコーナーに変えての特別展示となります。

後半は孤高の天才、シルバノ・ラッタンジについてお話していきます。

【オーナー在店日のお知らせ】
今月の在店期間は7月13日(土)14日(日)の2日間です。

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Artigiano-Tokyo Ginza

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