こんにちは。
Artigiano-Tokyo(東京駅前店)です。
フルオーダースーツというと
『その人の体型に合わせて作ってもらう究極のスーツ』
というイメージがありますよね。
それは勿論正解。
でも気を付けなければならないのは
『テーラー(伊: サルトリア)によって
得意とするスタイル=ハウススタイルがある』ということ!
スーツをフルオーダーする上で意外とこの部分って知られていないんですよね。
・フルオーダー=何から何までやってくれる
・フルオーダー=御用聞き
では、ない!これはしっかりと認識しておく必要があります。
フルオーダーは必ず『自身がどんなスーツを作りたいのか』をよく考えて門戸を叩かないと、イメージと全く違うスーツが出来上がってしまうこともあるんです。
実際、フルオーダーに慣れていらっしゃる方は『着心地以上の”何か”』を求めて仕立てます。
いまはCAD技術が発達していますので単に『その人の体型にぴったり合わせる』だけならフルオーダーでなくてもできてしまう時代です。
そして単に着心地が良い”だけ”にフォーカスすると、とんでもなく不格好なスーツになることも。。
スタッフも昔やらかしたことがあります。
日本の政治家風のスーツが出来上がって
1か月くらい立ち直れませんでした。
本当に作り手の”センス”って大事なんです。熟練、縫製が綺麗。それだけでは、表現できない。
そして作る側も、情報や経験・そして自身のイメージをアウトプットする力が必要となってきます。
スーツをあまり着たことがない人が背伸びして
『最初に最高の一張羅を作りたい』と
いきなりフルオーダーに挑戦すると大体失敗します!
アットリーニやキートン、それが高すぎるならばパルテノペアやイザイア・カスタンジアなど、手縫いのフルオーダーに近い品質の既成服から入ることを強くお勧めします。
泣いたスタッフからの助言です。
話を戻します。
イタリアやナポリの神業的な腕を持つサルトリアは『我々のハウススタイルこそ至高』という確固たるプライドをもって洋服を仕立てています。
ハウススタイルを崩すくらいなら廃業した方がマシ、くらいの勢いです。守り、熟成された歴史と伝統、技法。背負っているモノの重みが違いますから当たり前ですね。
芯地を一切使わないカーディガンのような仕立てと丸いシルエットを得意とするサルトリアに
『ブリティッシュで構築的なスーツを作ってほしい』と言っても、多分他所をあたるよう言われます。
無化調の塩ラーメンが売りのお店で背油マシマシの家系ラーメンをオーダーするみたいな。
ハウススタイルを無視した注文や無理難題は断られます。
作り手へのリスペクトがない注文は、絶対に良い洋服が生まれません。
フルオーダーは自分だけの仕様をチョイスできるのが魅力ですが、それはほんの入り口に過ぎません。
職人の真の腕の見せ所は、『着心地は極上に』。そして『いかにその人を引き立てる洋服を、当代のハウススタイルで再現するか』。
着用者をカッコよく見せてなんぼなのです。
実際フルオーダーの際フィッターに『あなたにはそのスタイルは合いませんよ』とバッサリいかれることも。
結果として、どうしてもハウススタイルがご自身の体型に合わない場合もあります。
『好き』と『似合う』は必ずしも一致しないのが服の難しさでもあります。時に割り切りも必要ですね。
当店の取り扱うユーズドスーツ・ジャケットはフルオーダー品もたくさん御座います。
『フルオーダーしかやっていない』『現地でしか仕立てられない』サルトリアは沢山存在します。
例え日本でトランクショーが開催されても予算が100万前後ないと作れない服はざらです。
最上級の服を着てみたい。でも現地に行く時間も余裕もないし、
やっぱり石橋は叩いて渡りたい。予算も抑えたい。
そんな方のために当店は存在するといっても過言ではありません。
当店独自のルートで仕入れるフルオーダー品は珠玉の逸品たちばかりです。
フルオーダーでも意外と体型に合うものは御座います。スタッフが愛用するシャマットのスーツもフルオーダー品ながら自身の体型にぴったり合う逸品でした(定価だと多分100万くらい )。ちなみにスタッフが当店で働くきっかけとなった一着です。
当店の数百点の在庫の中にはきっと運命の一着があると思います。
お直しに対応できる商品も多数ございますので『フルオーダー品だし体型には合わないだろうな』と思われる前に、まずはお気軽にお問い合わせください!
ご自身のワードローブに大いに参考になること間違いなしです。
今日は『オーダースーツは体型に合わせるだけが目的ではない!』というお話でした。
Artigiano-Tokyo