こんばんは。
Artigiano-Tokyo Ginza(東京銀座店)です。
テーマは「Style of a King」。
アットリーニの「王者の風格」に迫ります。
昨年は、当ブランドについて、
サルトリア期とチェザレ期を比較しながら
アットリーニの仕立てと歴史を
掘り下げてきました。
過去ブログ
アットリーニの伝統と歴史①
アットリーニの伝統と歴史②
今年は視点を少し変え、
なぜアットリーニが“王者”と称されるのか
その核心にフォーカスしていきます。
アットリーニは、当店でもメインで扱っているブランドのひとつです。
しかし、初めてクラシコイタリアに触れる方にとってアットリーニの魅力は 決して分かりやすいものではないかもしれません。
同じナポリ仕立てでも、パニコやコスタンティーノなどの目を見張るコンケープドショルダー。
ダルクォーレのような流麗かつモダンなシルエットなどと比べると、アットリーニは控えめです。
派手なディテールやアイコニックな特徴で
主張する服ではなく、匿名性が高く
生地・仕立て・ディティール
すべてが高次元のバランスによって
静かに成り立っています。
そのため、初見ではその凄みを一目で
感じ取ることは難しいと思います。
けれど、いくつものクラシコ服を着てみて
仕立ての深さに触れ、時間とコストをかけた人ほど
アットリーニが既成の領域で到達している
突飛したクオリティの異質さに
ふと気づくようになります。
その理由は決して偶然ではありません。
ナポリ仕立ての伝統は元来、
「個の技術」に支えられていました。
一人のマエストロ。
仕立て職人の熟練度やクセによって
出来上がる一着の精度も美しさも
大きく左右される。
そこには、手作業ゆえの温かみと引き換えに
再現性の不確かさという宿命もありました。
一着ごとに、異なる表情。
それはナポリ仕立ての魅力であると同時に
“安定した品質”という視点では
常に課題でもあったのです。
この伝統的な価値観に、チェザレ・アットリーニは
変革をもたらしました。
ただ職人の手に委ねるのではなく、
熟練した手技を工房内で体系的に共有し
誰が縫っても「アットリーニの水準」に
達するよう技術と精度をマニュアル化・標準化を目指しました。
重要だったのは、単なる技術の伝承ではありません。
細部にわたる基準を設け、それを全員で
「体現できる」レベルにまで昇華したのです。
結果、アットリーニの既成服は
まるで熟練のマエストロが仮縫いを
重ねたかのような完成度を持ちながら
安定した品質で市場に届けられるようになりました。
ナポリ仕立ての「偶然の美」を超え、
「必然の美」へと至ったブランド。
それが “アットリーニ“ なのです。
この思想と精度の体系化こそが、
今日に至るまでアットリーニが
現代ナポリ仕立ての”King 王者”と称される理由に他なりません。
仕立て服を知れば知るほどに、細部に至るまで
どこを取ってもアットリーニの異質な完成度に
気づかされます。
アットリーニは、華美な装飾で語る服ではありません。
着る人自身を引き立て
その自然な佇まいに、静かに「風格」を宿す服です。
それゆえに、今あらためてこの“匿名性の高さ”が
「静かなる王者の証明」として再評価されています。
強く見せるのではない。
纏った人からにじみ出る力を自然に支える。
その静かな在り方が、今なお人々を魅了し
続けているのです。
5月は「王者の風格とは何か」をテーマに、
アットリーニのアーカイブ級品や春夏物を含む
総数20着以上が東京銀座店に集結します。
アットリーニの歴史やその背景にある哲学を掘り下げながらご紹介していきます。
ぜひ、この機会に袖を通すことで
初めて感じる”アットリー二”が持つ
「滲む品格」に触れてみてください。
【オーナー在店日のお知らせ】
今月のGWは5月2日(金)〜5月6日(日)の5日間
名古屋店オーナー:丹下が在店いたします。
毎月恒例のお買い換えがお得なトレードアップフェア・即時お買取りも同時開催。
お手持ちのクラシコウェアを下取りに
店でのお買い物に充てて頂ける機会となります。
皆様のご来店を心よりお待ちしております。
Artigiano-Tokyo Ginza