かなり間が空いてしまいましたが、靴解説の続きです。
イタリア靴解説の第4回は、
前回ご紹介した”ステファノ・ベーメル”と同世代にして同じフィレンツェに居を構えるため、
彼とよく比較される先鋭ビスポーク靴職人「ROBERTO UGOLINI(ロベルトウゴリーニ)」です。
あのS.ベーメルと比べ甲乙付けがたいという意味で、もうピンと来る方もおられるかと思います。
1969年生まれのロベルト・ウゴリーニ氏は曾祖父が靴職人、祖父と父がシューリペア職人、
母が靴店経営者という家系に生を受けた、いわばイタリア靴界の申し子。
1885年にリペアの道に入るもそれに満足せず、ある靴職人のもとで修業を積み、
1996年に独立してフィレンツェにス・ミズーラ専業の工房を開きます。
以後、靴関連の古い文献を研究し、その成果を自身の靴作りに生かすなどし、
クラシックベースの、しかしエレガントでクリエイティブな美しい靴を作り続けています。
そんなイタリア靴の申し子、ウゴリーニ氏自身の作製する靴はスミズーラ(ビスポーク)注文靴のみですが、
ロベルトウゴリーニがデザイン&ラスト木型を担当し、
ハンガリー首都ブダペストの名靴ファクトリー”VASS(ヴォーシュ)がハンドソーン製法で靴作製
という既成靴を伊勢丹メンズがプロデュース。
ギルド・オブ・クラフツの山口千尋氏が「文句なく世界最高の既製靴」称賛するほど出来の良い靴です。
ちなみに、ビスポーク靴界で活躍する日本人職人の深谷秀隆(イル・ミーチョ)、鈴木幸次(スピーゴラ)の両氏が
ロベルト・ウゴリーニの下で修業を積んだという事実が、この靴職人の実力を物語っていますね。
現在、ウゴリーニ×VASSは店頭に3足あります。
ベーメルと同様に、ビジネスに対応できる希有な本格イタリア靴です。
履きやすさと品質、そして高いデザイン性が見事なバランスで同居しており、
既成靴として最高次元の世界観を構築していると思います。
中古で出回る数は少なく入荷も限られるのですが、
当店でもできるだけ展示してご覧頂きたいと思っております。