Antonio Panico氏の訃報が耳に入り数日が経ちました。
信じたくない事実を前にして未だ心が落ち着かない中で、
それでも記しておかなければいけないと思い
今ここで筆を執っています。

洋服好きの若者がいつしかクラシコイタリア紳士ファッションに惹かれ、
30才過ぎてこの世界を仕事以上のライフワークとした自分が
これまでに最も感銘を受けた作品と生き方を見せてくださった憧れであり、
大好きな今のこの志事への情熱と刺激を常に頂いていたお方だった。

Maestro, Sarto Finito,
Sig. Antonio Panico


アート彫刻の様な貴方の流麗な仕立て。
優雅な貫禄を纏わせてくれる立体美。
背筋がピンと伸びるような品格と包み込まれる柔和な着心地。
そんな唯一無二のジャケットを創造できるサルトフィニートがこの世から去ってしまった…

しかし、これだけは言えると思います。
生き神サルト・最高にして最後のマエストロ等と謳われた
ナポリ仕立ての名匠「アントニオ・パニコ」氏の名前と功績は、
正統ナポリ仕立ての素晴らしさを雄弁に物語るPanico製ジャケットが世界中に存在する限り
その所有者と共に、今後もずっと生き続けることでしょう。


私は、アントニオ氏にお会いして感謝をお伝えしたい一心で
不躾ながら長年にわたり現地ナポリのサルトリアパニコへ表敬訪問し続け
畏れ多くも交流させていただいた際に確かに見た鋭い眼差しや優しい微笑み、
生地の感触を確かめながら重い鋏やアイロンを
持ち続けたことを物語るゴツゴツザラザラした手や
非対称に曲がった腰や背中をずっと忘れることはないだろう。

そしてこれからも、
サルトリアパニコの愛用者かつ一人のファンとして
弊店を通じて Panico謹製の仕立て服を次世代へ伝えてまいります。

Antonio Panico (1941-2026)
Grazie per il duro lavoro svolto finora. Buon viaggio.
Riposa in pace…

パニコさん
今まで長い間、本当にお疲れ様でした。
そしてありがとうございました。安らかに…


