連載【はじめてのナポリ仕立て②】名サルト: 『用の美』 Solito(ソリート)の魅力

こんばんは。
Artigiano-Tokyo(東京銀座店)です。

今回は日本でも知名度の高い
ナポリのサルトリア: Solito(ソリート/ソリト)に
ついてお話してまいります。

日本は世界でもナポリ仕立てが最も
受け入れられている国の一つと言われます。

その理由の一つが南イタリアの温暖な気候との
共通点です。

先進国の中でも四季の変化が過酷とされる
日本において、その通気性と運動性、
何より着用ストレスを軽減するその仕立てが
受け入れられるのはごく自然と言えます。

同時に、礼節と合理性を併せ持つ日本人の気風と、
ナポリ仕立てが持つ唯一性とのマッチングも、
理由に挙げられると当店は考えています。

ドレスアップとドレスダウン。
ナポリ仕立てがこの二律背反の事象を
同時に成し得るのは、
ドレススタイルの源流である貴族文化に
ナポリの温暖で大様な土着文化が融合するという、
2つの血統が流れている点にあります。

機能性と美は表裏一体、という観点は
古来から日本人の美意識に深く根付いています。
戦後の大量消費時代において
その価値観が変貌したと言えますが、
長い文化的背景を持つ我々にとって
その『用の美』を捉えたナポリ仕立ての姿を見て
胸を打たれるのはごく自然なことかもしれません。

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ソリートの作品はナポリ仕立てのスーツ/ジャケットの
『用の美』を端的に表したサルトリアの一つです。

中庸、中道と表現されるソリートですが、
かなり個性的ともとれる部分が各所に存在します。

ソリート、サイズは42-44のスモールサイズ。反り上がる肩のラインは初見では圧倒されること間違いなし。ソリートは柔らかくしなやかな生地を採用することが多いがこちらもロロピアーナのカシミヤ混ウール。ひとえに自らが作り出す洋服のキャラクターと真髄を理解しているからに他ならない。

初めてソリートの作品を見た人が
『ウルトラマンみたいだ』と
感想を漏らすことがあります。

これは意外とソリートの作品の本質を
捉えていると私たちは感じます。

大きな特徴として、
ジャケットの上衿(うわえり 上襟)が
とても高い位置から始まっている点があります。

首根っこを掴むよう、とも言われるこのスタイル。
後ろ首に巻きつくように襟周りを作り込み
生地の重心を安定させています。
更に胸、肩甲骨にかけて『面』でビタリと
体表に吸い付かせる構造をとり、
徹底して重量を分散させています。

ソリート 着用時の上衿。実はこの個体、背中を見ればわかる通り華奢な着用者に対してオーバーサイズである。通常、オーバーサイズは首元とジャケットの間に大きな隙間ができたり(これを首が抜けるという)、重心が下がりずり落ちて見える。しかしこの個体、首の抜けはなく、ずり落ちも最小限である。

この構造だけ聞くと隙間がなく窮屈そうに感じますが、
実際はその真逆となります。
本来『くっついていた方が良い部分』と
そうでない部分を徹底的に研究し、
素肌のようなジャケットを成立させているのです。

先頭の個体をトルソーに着せた図。注目してほしいのはその首元と背中。ビタっと擬音が聞こえてくるかのようなスキのない背中のライン。対して腕元はたっぷりと余裕をもって生地が取られているように見えるが、ひとたび人間が袖を通すとこの袖皴も綺麗に消えてしまう。

ナポリ仕立ての多くは
かなり高い位置で上衿を仕立てますが、
その中でもソリートの上衿の付き方は
特筆に値します。
人間工学、あるいは解剖学的な観点における
洋服づくりをしている証明とも言えるでしょう。

作品上のウルトラマンのあの姿は
ボディスーツではなく素肌そのものですから、
逞しい肉付きと継ぎ目のないシルエットは
肉体美そのものをあわらしています。

仕立て作品がその思想のもと出力する『結果』と、
一見突飛な感想が一致するのは自然なことと言えます。

ボディラインをなぞるように存在する
ソリートの洋服は人の体の延長線であり、
武装やステイタスとは全く異なる概念で
成り立ったドレススタイルです。

用の美とは格好良さでもある。
そのような事実を突きつけられている
気がしてきます。

ソリートはブログで過去何度も特集しましたが、
ソリート家はナポリ仕立ての開祖の一人とされる
ヴィンツェンツォ・アットリーニ氏直系の
仕立てを受け継ぐ家系です。

ヴィンツェンツォの教えを守りつつ、
そのスタイルを研ぎ澄まし洗練させてきた
結果が今のソリートのハウス・スタイルです。

その真価は
心地よい着心地と運動性能が全て人の手作業で
成り立っているばかりか、
人が持つ『格好良い』『美しい』という
根源的な感情を呼び起こすシルエットが、
先端技術の遥か先を行っている点にある。
と言えます。

機能的で運動性の高いスーツやジャケットは
世の中にたくさんありますが、
本来の”貴族由来と土着由来の価値観の融合”
から生まれた本物の仕立て作品の中で
ソリートの着心地は別格です。

確立され100年近くの歴史を持つ
ナポリ仕立てが世の中に知れ渡った今
『本物のナポリ仕立てにふれてみたい』
と思うのならばソリートの作品は
一度は手にする価値のあるものと考えます。

4月はごく少数ですがソリートの個体が
新商品化されました。

諸々の事情で日本での入手が難しくなっている中、
長い目で何とか流通を安定させていけたらと
私どもも考えております。

新入荷、ソリートのブラウンジャケット。サイズは42-44、43といったところ。少数精鋭ながら今回サイズは比較的満遍なく揃いました。ソリート・ワールドが展開される春先となります。

既存在庫も含め東京銀座店に集結しております。
是非ジャケットのベストシーズンとなる
4月にご来店くださいませ。

【お知らせ】
今週末の4月11日(土)と12日(日)の2日間は、
毎月恒例の名古屋本店トランクショーを
当 東京銀座店にて開催します。

今回は春夏アイテムとして私どもが集めた
『本格スラックス』がテーマとなります。

ハンドメイド系の作品として、ナポリ仕立てパンタローネ専業2大ブランド

「アンブローシ&モーラ(アンティコパンタローネ)」

を始め、Ciardiチャルディ等の弩級のスラックスパンツを揃えます。

名古屋本店代表: 丹下による
お下取りサービス
『トレードアップフェア』も
このタイミングで実施しております。

皆様のご来店心よりお待ちしております。

Artigiano-Tokyo Ginza

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