Artigiano-Tokyo Ginza(東京銀座店)です。
『カラチェニ派』に関わる内容の続きです。
ミラノ仕立ては上流階級との結びつきが強いことから、表舞台で話題に挙がることは殆どありません。
現在の顧客との信頼関係や品質を保つため、世俗から切り離されたクローズドな世界なのです。
今回のテーマ『ミラノ仕立て』ではジャンニ・カンパーニャの仕立て品を多く取り揃えていますが、その他殆ど出回らないミラノ仕立てもラインナップしています。
その二つが『プリンツィバリー』と『ティンダロ・デ・ルカ』です。
プリンツィバリーは三陽商会によるライセンス品『フランコ・プリンツィバリー』と本国のビスポーク品が存在しますが、当店での取り扱いはビスポーク品のみです。
※ネットで多く出回っているのはライセンス品のものとなります。
ライセンス品とビスポーク品は全くの別物と呼べる存在です。
ディティールこそアイコニックな部分を取り入れていますが、クオリティそのものが全くの別物です。
F1カーと、F1カーにインスピレーションを受け製造された乗用車を比較するようなものです。
双方に別の魅力はあれど、それらを同列に語るのは不毛であると言えます。
プリンツィバリー氏はイタリアの仕立て職人の名誉でもある『金の鋏賞』の最高責任者でもあります。
氏はイタリアの仕立て服と職人を評価する立場にあり、同時に最高レベルの職人であるということです。
また彼自身も、前回取り上げた『ジャンニ・カンパーニャ』と同じく、A・カラチェニで修業を積んだ『カラチェニ派』の後継者でもあります。
彼のサルトリアが仕立てる作品はミラノ仕立ての中でも独特です。
ダイヤモンドのように角が立ったシルエットとコンケープドショルダーは圧巻の一言。
ナポリ仕立てと比較すると着用者の体型とのマッチングがややシビアとなりますが、自身がその服の『適合者』になり得たときの感動は代えがたいものがあります。
更に貴重な品として挙げられるのが『ティンダロ・デ・ルカ』通称ティンダロです。
彼もカラチェニ一族の出身ではないものの、そのモノ作りは間違いなくカラチェニを源流とするミラノ仕立ての伝統と文化に基づいた作品です。彼もまた世界最高のテーラー(イタリアではサルト呼びだが、彼が英国スタイルを好んだことからこのように呼称されることも多い)の一人に挙げられ、そのパーソナリティー含め多くの人々から愛された偉大な人物でした。
ティンダロはビスポークしか手掛けず、日本では高級セレクトショップ『ストラスブルゴ』で過去トランクショーが行われていた程度で、日本との接点が殆どありません。
現在ティンダロの作品を国内で見かけることはまずなく、当店でもようやく1着(後半の補充でようやく2着目)確保できたにすぎません。
彼自身も故人となり、新たな仕立て品はもう手にすることはできません。
今回のイベントでは各1着ずつ(ティンダロは1着即完売し、後半に何とか1着追加できました)ご用意しています。
その他、カンパーニャも新たに軽快な春物を中心に在庫が補充されています。
偉大なサルトの仕立て品、それも現在では手にできない『血の通った仕立て品』たちが集結しています。
皆様のご来店をお待ちしております。
Artigiano-Tokyo Ginza(東京銀座店)